研究業績
2024年
- , , M. , M., ,GG., , L., , M., , F., , J., , L., , D., , N., , Z.,
- , , T. , R.J., Glutamate, GABA, and dense-core vesicle secretion regulate predatory feeding in the nematode Pristionchus pacificus”, bioRxiv , A., , A.,
-
, , T. “cGMP-dependent pathway and a GPCR kinase are required for photoresponse in the nematode Pristionchus pacificus“, bioRxiv
, K., , H., , A.,
2023年
- Ishita, Y., Onodera, A., Ekino, T., Chihara, T., Okumura, M., “Co-option of an astacin metalloprotease is associated with an evolutionarily novel feeding morphology in a predatory nematode”, Molecular Biology and Evolution, 40, msad266, (2023)
動物が多様な食性を獲得するためには、その食糧源に合わせた摂食器官を進化させる必要があります。本研究では、バクテリアを摂食するC. elegansと、線虫を食べる線虫P. pacificusを用いて、線虫の食性がどのように進化してきたのか、その機構の一端を解明しました。順遺伝学的スクリーニングやゲノム編集、遺伝子導入などの遺伝学的手法を駆使し、アスタシンメタロプロテアーゼというタンパク質分解酵素の一つがその発現場所を変えることで、P. pacificusとC. elegansで異なる摂食器官の形態形成に機能することを明らかにしました。本研究は、明治大学の浴野泰甫先生との共同研究です。
プレスリリースはこちら. - Ito, A., Matsuda N., Ukita Y., Okumura, M., Chihara, T., “Akaluc/AkaLumine bioluminescence system enables highly sensitive, non-invasive and temporal monitoring of gene expression in Drosophila”
Communications Biology, 6, 1270, (2023)
ホタルの発光に代表される生物発光は、生物学の様々な研究や解析に利用されています。本論文では従来の生物発光システムよりも強いシグナルを発するAkaluc/AkaLumineシステムをショウジョウバエに導入し、使用条件を検討しました。その結果、生体内の細胞数や遺伝子発現を、高感度、非侵襲的、そして経時的に検出できるようになりました。また、このシステムを用いることで、自然免疫や小胞体ストレスに影響する環境シグナルを簡便に探索することが可能になりました。
プレスリリースはこちら. - Nakano, S., Kashio, S., Nishimura, K., Takeishi, A., Kosakamoto, H., Obata, F., Kuranaga, E., Chihara, T., Yamauchi, Y., Isobe, T., Miura, M., “Damage sensing mediated by serine proteases Hayan and Persephone for Toll pathway activation in apoptosis-deficient flies”, PLoS Genetics, 19(6): e1010761 (2023)
自然免疫は、外来病原体に加え、生体内の自己組織傷害部位も感知して排除する機能を持っています。本論文では、ショウジョウバエの組織傷害由来の過酸化水素がセリンプロテアーゼ群を活性化し、自然免疫を発動するメカニズムを示していす。本研究は、東大・薬・三浦研を中心とした共同研究です。
- Honda, D., Okumura, M., Chihara, T., “Crosstalk between the mTOR and Hippo pathways”, Development Growth and Differentiation, 65, 337-347, (2023)
- Ito, A., Matsuda N., Ukita Y., Okumura, M., Chihara, T., “Akaluc/AkaLumine bioluminescence system enables highly sensitive, non-invasive and temporal monitoring of gene expression in Drosophila”
Research Square (2023) →Communications Biologyに掲載されました. - Kamemura, K., Kozono, R., Okumura, M., Koga, D., Kusumi, S., Sekine, S., Kamiyama, D., Chihara, T., “Secretion of endoplasmic reticulum protein VAPB/ALS8 requires topological inversion”. Research Square (2023)
2022年
- , D., , Y., , R., , M. A.,
- Guo, R., Fujito, R., Nagasaki, A., Okumura, M., Chihara, T., Hamao, K., “Dynamin-2 regulates microtubule stability via an endocytosis- independent mechanism”. Cytoskeleton, 79, 94-104 (2022)
ダイナミン-2による微小管動態の制御機構の一端を解明した論文です.ダイナミン-2は,エンドサイトーシスで機能することがよく知られていますが,微小管の制御機構については不明のままです.本研究では,ダイナミン-2のエンドサイトーシス制御に必要な活性(GTPase活性,自己集合能,フォスフォイノシチド結合能)のうち,GTPase活性は微小管動態制御に必要でないが,自己集合能は必要であることを明らかにしました.この結果は,ダイナミン-2による微小管制御はエンドサイトーシス非依存的に行われていることを示唆しています. - Ukita, Y., Okumura, M., Chihara, T., “Ubiquitin proteasome system in circadian rhythm and sleep homeostasis: Lessons from Drosophila”. Genes to Cells, 27, 381-391 (2022)
概日リズムと睡眠の制御機構について、ショウジョウバエ研究により得られた知見を、ユビキチン・プロテアソームによるタンパク質分解の観点からまとめた総説です。ユビキチン・プロテアソームによるタンパク質分解は、不要になったタンパク質を選択的に除去します。概日リズムにおいては時計タンパク質を除去することで、リズムが正確に保たれることが知られています。今回さらに、睡眠においてもこのタンパク質分解が関与し、一部が概日リズムと相互作用する可能性について、最新の知見とともにまとめました。 - Kamemura, K., Moriya, H., Ukita, Y., Okumura, M., Miura, M., Chihara, T. “Endoplasmic reticulum proteins Meigo and Gp93 govern dendrite targeting by regulating Toll-6 localization“. Developmental Biology, 484, 30-39 (2022)
ニューロンの樹状突起ターゲッティングにおける小胞体タンパク質Meigoの機能について解析しました。その結果、Meigoは小胞体シャペロンGp93の量を調節し、さらには細胞表面におけるToll-6受容体の量と局在にも関わることで、ニューロン樹状突起の投射方向をコントロールしていることが明らかになりました。
プレスリリースはこちら. - Takeuchi, K., Honda, D., Okumura, M., Miura, M., Chihara, T. “Systemic innate immune response induces death of olfactory receptor neurons in Drosophila“. Genes to Cells, 27, 113-123 (2022)
以前、私達は、老化と共に特定の嗅覚ニューロンが死ぬことを見出していました(加齢依存的なアポトーシス)。今回の研究では、加齢依存的に自然免疫系が活性化し、それにより嗅覚ニューロンの細胞死が誘導されることを示しました。この研究成果は、老化過程における自然免疫応答と神経細胞死の関係、更には老化依存的な個体機能(行動、感覚、記憶)低下のメカニズムの理解に繋がります。 - Lin, Q., Guo, R., Hamao, K., Takagi, R., Abe, M. “2-(4-Nitrophenyl)-1H-indolyl-3-methyl chromophore: A versatile photocage that responds to visible-light one-photon and near-infrared-light two-photon excitations”. Chemistry Letters, 51, 153-156 (2022)
可視光や近赤外光を使用して放出される光除去可能な保護基(photoremovable protecting groups, PPGs)はドラッグデリバリーシステムで注目されています。本研究では,新たなPPGとして,2-(4-nitrophenyl)-1H-indolyl-3-methyl chromophore (NPIM)を合成しました。NPIMを使用して様々な化合物にケージを付加し,可視光や近赤外光でケージを除去できることを確認しました。NPIMは細胞毒性が低いことから,生体内で利用できる可能性があります。本研究は広島大学大学院先進理工系科学研究科の安倍学先生との共同研究で,Guoさんと濱生さんは細胞毒性の評価を担当しました。
2021年
- Hiraga, H., Ishita, Y., Chihara, T., Okumura, M. “Efficient visual screening of CRISPR/Cas9 genome editing in the nematode Pristionchus pacificus” Development Growth & Differentiation, 63, 488-500 (2021)
線虫Pristionchus pacificusにおけるゲノム編集技術のプロトコールを紹介しています.2種類のインジェクションマーカーを用いて効率的にゲノム編集個体のスクリーニングを行う方法です.表紙(左下)にも採用されました!2022年Young Investigator Paper Award (DGD奨励賞)を受賞しました。受賞理由はこちらから。
-
Kamemura, K., Chen, C., Okumura, M., Miura, M., Chihara, T. “Amyotrophic lateral sclerosis‐associated VAP33 is required for maintaining neuronal dendrite morphology and organelle distribution in Drosophila” Genes to Cells, 26, 230-239 (2021)
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子であるVAPが神経の形態維持にどのように寄与しているのか、また、ALS疾患変異が導入されることで神経細胞にどのような影響が出るのかを、ショウジョウバエ嗅覚神経系を用いて解析しました。その結果、VAPが樹状突起の形態維持及びオルガネラの局在制御に関与していることが明らかになりました。さらに、ALS疾患変異型であるヒトVAPB P56Sを投射神経に過剰発現させると、膜タンパク質やシナプスタンパク質Brpが細胞体に異常蓄積することが分かりました。 - Ishita, Y., Chihara, T., Okumura, M., “Different combinations of serotonin receptors regulate predatory and bacterial feeding behaviors in the nematode Pristionchus pacificus“, G3:Genes, Genomes, Genetics, 11, jkab011 (2021)
線虫Pristionchus pacificusは他の線虫に対する捕食行動とバクテリア食性を示します.本研究ではゲノム編集技術を用いてセロトニン受容体の変異体を網羅的に作出し,セロトニンの下流でどのようなセロトニン受容体が機能し,2つの摂食行動を制御しているか明らかにしました. - Molecular Biology and Evolution, 38, 229-243 (2021)
線虫Pristionchus pacificusではこれまで組織特異的な遺伝子発現解析がされていませんでした.本研究では,20 µm間隔で線虫の輪切り凍結切片を作製し,一つ一つの切片からRNAを増幅してRNAシーケンシングを行いました.これにより,モデル線虫であるC. elegansとの1:1オルソログであっても発現パターンには保存性が低いことや,精巣の領域で進化的に新しい遺伝子の発現が多いということを明らかにしました.本研究はドイツ・Max Planck研究所Rödelsperger博士およびオランダ・ユトレヒト研究所 Korswagen教授との共同研究です.Annabelさんが描いた絵が表紙に選ばれました.
“Spatial transcriptomics of nematodes identifies sperm cells as a source of genomic novelty and rapid evolution”
2020年
- Ono, T., Terada, F., Okumura, M., Chihara, T., Hamao, K. “Impairment of cytokinesis by cancer-associated DAPK3 mutations”
Biochem Biophys Res Commun, 533, 1095-1101 (2020)
DAPK3(ZIPキナーゼとも呼ばれる)のがん関連変異が,収縮環のリン酸化ミオシンII調節軽鎖を減少させ,細胞質分裂を失敗させることを明らかにしました.この結果は,DAPK3の変異が細胞質分裂の失敗によりがん化を引き起こす可能性を示唆しています. - Fujisawa, Y. Shinoda, N. Chihara, T., Miura, M. “ROS regulate caspase-dependent cell delamination without apoptosis in the Drosophila pupal notum”
iScience, 23, 101413 (2020)
個体発生において,「特定の細胞が適切に排除されること」は大事です.今回,ショウジョウバエ蛹の上皮細胞が排除される過程を,遺伝学的手法を駆使したin vivoライブイメージングを用いて解析し,NADPHオキシダーゼが「排除される細胞」に前もって蓄積することを見出しました.そして,NADPHオキシダーゼは細胞死実行因子カスパーゼを活性化することで「細胞の排除(体腔内への落ち込み)」を制御していることを明らかにしました(カスパーゼによる非アポトーシス性機能).本研究は東大・薬・三浦研との共同研究です. - Nakayama, K., Ishita, Y., Chihara, T., Okumura, M. “Screening for CRISPR/Cas9-induced mutations using a co-injection marker in the nematode Pristionchus pacificus”
Development Genes and Evolution, 230, 257–264 (2020)
線虫Pristionchus pacificusにおいてCRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集を簡便に行うためのインジェクションマーカーを確立しました.
- Ishita, Y., Chihara, T., Okumura, M. “Serotonergic modulation of feeding behavior in Caenorhabditis elegans and other related nematodes”
Neuroscience Research, 154, 9-19 (2020)
神経調節物質であるセロトニンは,多くの動物で摂食行動に関与していることが知られています.この総説では,線虫特に,C. elegansにおいてセロトニン神経回路がどのように摂食行動を制御しているか,最近の知見を紹介しています. - Hamao, K., Ono, T., Matsushita, M., Hosoya, H. “ZIP kinase phosphorylated and activated by Rho kinase/ROCK contributes to cytokinesis in mammalian cultured cells”
Experimental Cell Research, 386, 11707 (2020)
動物細胞の細胞質分裂を制御するキナーゼとしてRhoキナーゼとZIPキナーゼが知られていましたが,これらが独立して機能するのか,協働しているのか不明でした。本研究は,Rhoキナーゼによりリン酸化されたZIPキナーゼが,ミオシンII調節軽鎖のリン酸化を介して細胞質分裂を制御していることを明らかにしました。
2019年
- Shinoda, N., Hanawa, N., Chihara, T., Koto, A., Miura, M “Dronc-independent basal executioner caspase activity sustains Drosophila imaginal tissue growth”
Proc Natl Acad Sci U S A, 116, 20539–20544 (2019)
ショウジョウバエ遺伝学を用いて,細胞死実行因子カスパーゼであるDcp-1とDecayの定常活性(細胞死を誘導しない弱い活性)が,細胞増殖を促進することを見出しました.本研究は東大・薬・三浦研との共同研究です. - Ando, T., Sekine, S., Inagaki, S., Misaki, K., Badel L., Moriya, H., Sami, M M., Itakura, Y., Chihara, T., Kazama, H., Yonemura, S., Hayashi, S. “Nanopore Formation in the Cuticle of an Insect Olfactory Sensillum”
Current Biology, 29, 1-9 (2019)
体表の細胞は,様々な「かたち」をもつ必要があります.例えば,匂いを感じる「毛」は,匂い分子が毛の中に入るための入口としてのナノレベルの穴(ナノポア)をつくる必要があります.今回,ショウジョウバエ嗅覚感覚子(匂いを感じる毛)のナノポア形成に必須の遺伝子Osiris23/gore-texを見出しました.本研究は理研・BDR・林研との共同研究です.
- Fujisawa, Y., Kosakamoto, H., Chihara, T., Miura, M. “Non-apoptotic function of Drosophila caspase activation in epithelial thorax closure and wound healing”
Development, 146, dev169037 (2019)
細胞死実行因子カスパーゼの非アポトーシス性機能が,細胞陥入(細胞が体腔内に落ち込む現象)や損傷治癒(細胞が移動して傷口を塞ぐための細胞移動)に関わることを示しました.ショウジョウバエ蛹の背中における細胞移動や細胞死を,高解像度in vivoライブイメージングで解析することで明らかにしています.本研究は東大・薬・三浦研との共同研究です.
- Kamemura, K. and Chihara, T. “Multiple functions of the ER-resident VAP and its extracellular role in neural development and disease”,
The Journal of Biochemistry, 165, 391-400 (2019)
Volume 165, Issue 5, May 2019, Pages 391–400
細胞内小器官:小胞体に局在するVAPに関する総説です.VAPは,小胞体と他小器官(ミトコンドリアやゴルジ体など)とのつなぎ止め分子としての機能に加えて,筋萎縮性軸索硬化症(ALS)の原因遺伝子の一つとしても知られています.今回更に,VAPが切断されて,細胞外へ分泌されることに関しても最新の知見をまとめてあります.
表紙に選ばれました.
2018年
- Arii J, Watanabe M, Maeda F, Tokai-Nishizumi N, Chihara T, Miura M, Maruzuru Y, Koyanagi N, Kato A and Kawaguchi Y. “ESCORT-III mediates budding across the inner nuclear membrane and regulates its integrity.”
Nat Commun 9:3379 (2018)
単純ヘルペスウイルス(HSV )は、宿主細胞が持つ核外輸送機構(ESCRT-III システム)をハイジャックすることで ウイルス粒子を輸送し、効率的に子孫ウイルスを産生していることが明らかになりました。本研究は東大・医科研・川口研究室との共同研究です。
2017年
- Okumura, M. Wilecki, M. and Sommer, R.J. “Serotonin Drives Predatory Feeding Behavior via Synchronous Feeding Rhythms in the Nematode Pristionchus pacificus”
G3: Genes, Genomes, Genetics 7:3745-3755 (2017)
広島大学・研究成果ページ
線虫Pristionchus pacificusは他の線虫に対する捕食行動を示します.その際神経調節物質であるセロトニンが重要な役割を担うことをゲノム編集技術などを用いて示しました.
- スタンフォード神経生物学(教科書) 第6章(嗅覚、味覚、聴覚、体性感覚)の翻訳担当(千原)
千原さんのポスドク時代の恩師:Stanford大学Liqun Luo教授が執筆したPrinciples of Neurobiologyの日本語翻訳を行いました。
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- Anzo, M., Sekine, S., Makihara, S., Chao, K., Miura, M., and Chihara, T. “Dendritic Eph organizes dendrodendritic segregation in discrete olfactory map formation in Drosophila”
ショウジョウバエ嗅覚系神経回路の形成過程において、ニューロン樹状突起どうしがEph-Ephrinシステムを用いて反発しあうことで「適切なサイズの樹状突起」になることを明らかにしました。この反発作用がないと、樹状突起の重なってしまい、匂い情報の混線が起きてしまいます。ちなみに、この研究過程で6つのサンプルを得るために、6,000個のショウジョウバエ脳を解剖しています。安藏さんの根性実験の成果です。
Genes Dev 31:1054-1065 (2017)
広島大学・研究成果ページ
プレスリリース
- Sakuma, C. and Chihara, T.“Role of the STRIPAK complex and the Hippo pathway in synaptic terminal formation”
2016年発表した Cell Reports 16:2289-2297 (2016)の内容をまとめた総説です。神経シナプス形成にガン抑制シグナルHippoが関わることをしました。
Neural Regen Res12:578-579 (2017) - 佐久間知佐子、千原崇裕「小胞輸送・微小管安定性・Hippoシグナル経路に関わるハブタンパク質Strip」
生化学 89, 424-427 (2017)
2016年
- Sakuma, C., Saito, Y., Umehara, T., Kamimura, K., Maeda, N., Mosca, T.J., Miura, M. and Chihara, T. “The Strip-Hippo pathway regulates synaptic terminal formation by modulating actin organization at the Drosophila neuromuscular synapses”
我々はHippo経路(ガン抑制経路)のネガティブ制御因子としてStrip(STRIPAK複合体の構成因子)を見出していました(Sakume et al. Nat Commun 5: 5180, 2014)。今回、神経シナプスにおけるHippoとStripの機能を知る目的で、ショウジョウバエ幼虫の神経筋接合部を遺伝学的・電気生理学的に解析しました。その結果、Strip-Hippo経路がアクチン骨格を制御することで神経シナプス形態・機能を調節していることを見出しました。本研究は、都立医学総合研究所の前田先生、神村研究員との共同研究です。
Cell Rep 16:2289-2297 (2016)
プレスリリース
- Miyake, N., Fukai, R., Ohba, C., Chihara, T., Miura, M., Shimizu, H., Kakita, A., Imagawa, E., Shiina, M., Ogata, K., Okuno-Yuguchi, J., Fueki, N., Ogiso, Y., Suzumura, H., Watabe, Y., Imataka, G., Leong, HY., Fattal-Valevski, A., Kramer, U., Miyatake, S., Kato, M., Okamoto, N., Sato, Y., Mitsuhashi, S., Nishino, I., Kaneko, N., Nishiyama, A., Tamura, T., Mizuguchi, T., Nakashima, M., Tanaka, F., Saitsu, H. and Matsumoto, N. “Biallelic TBCD mutations cause early-onset neurodegenerative encephalopathy”
2015年、我々はチューブリン折りたたみ補因子D(TBCD)が、Dscam(ダウン症関連細胞接着因子)の下流で機能し、神経形態を制御することを報告していました(J Neuorsci 35: 1979-1990, 2015)。本研究では、ヒトTBCDにおける変異が遺伝性の早発性脳症の原因であることを示しています。横浜市立大学の松本研究室との共同研究です。
Am J Hum Genet 99:950-961 (2016) - Okumura, M., and Chihara, T. “Function of pioneer neurons specified by the basic helix-loop-helix transcription factor atonal in neural development”
2016年発表した Genes to Cells 21:53-64 (2016) の内容をまとめた総説です。嗅覚神経回路の形成過程におけるプロニューラル遺伝子Atonalの機能を説明しています。
Neural Regen Res11:1394-1395 (2016) - Matsukawa, K., Hashimoto, T., Matsumoto, T., Ihara, R., Chihara, T., Miura, M., Wakabayashi, T. and Iwatsubo, T. “Familial ALS-linked Mutations in Profilin 1 Exacerbate TDP-43-induced Degeneration in the Retina of Drosophila Melanogaster through an Increase in the Cytoplasmic Localization of TDP-43”
Profilin 1 は筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因遺伝子の1つです。本研究では、ALS関連変異Profilin 1 がTDP-43の核内移行を促進することで、神経変性を悪化させることを示しています。東京大学医学部の岩坪研究室との共同研究です。
J Biol Chem291:23464-23476 (2016) - Kashio, S., Obata, F., Zhang, L., Katsuyama, T., Chihara, T. and Miura, M. “Tissue non-autonomous effects of fat body methionine metabolism on imaginal disc repair in Drosophila”
ショウジョウバエ幼虫の局所的な傷害に対して、傷害部位と離れた器官である脂肪組織(脂肪体)が応答し、メチオニン代謝経路が変化することを見出しました。更に、人為的にメチオニン代謝経路を操作することによって、組織修復が遠隔的に阻害されることを明らかにしました。本研究は、東京大学の三浦研究室との共同研究です。
Proc Natl Acad Sci U S A 113:1835-1840 (2016) - Okumura, M., Kato, T., Miura, M. and Chihara, T. “Hierarchical axon targeting of Drosophila olfactory receptor neurons specified by the proneural transcription factors Atonal and Amos”
ショウジョウバエ嗅覚系の神経回路が作られる過程において,感覚神経に階層性があることを示しました.転写因子Atonalによって運命決定される感覚神経の軸索が先に触角葉へと伸長し,あとから伸長してくる,転写因子Amosによって運命決定される感覚神経の軸索投射に影響することを明らかにしました.
Genes Cells 21:53-64 (2016) - Lightfoot, JW., Wilecki, M., Okumura, M. and Sommer RJ. “Assaying Predatory Feeding Behaviors in Pristionchus and Other Nematodes”
線虫Pristionchus pacificusの捕食行動を定量化するための方法を動画を用いて紹介している論文です.
J Vis Exp 4:doi: 10.3791/54404 (2016)
2015年
- Sakuma, C., Okumura, M., Umehara, T., Miura, M. and Chihara, T. “A STRIPAK component Strip regulates neuronal morphogenesis by affecting microtubule stability”
Sci Rep 5:17769 (2015) - Okumura, M., Sakuma, C., Miura, M. and Chihara, T. “Linking cell surface receptors to microtubules: Tubulin folding cofactor D mediates Dscam functions during neuronal morphogenesis”
J Neurosci 35:1979-1990 (2015) - Okumura, M., Miura, M. and Chihara, T. “The roles of tubulin-folding cofactors in neuronal morphogenesis and disease”
Neural Regen Res, 10: 1388-1389 (2015) - Kondo, T., Okada, M., Kunihiro, K., Takahashi, M., Yaoita, Y., Hosoya, H. and Hamao, K. “Characterization of myosin II regulatory light chain isoforms in HeLa cells”
Cytoskeleton (Hoboken) 72: 609-20 (2015) - Hosoba, K., Komatsu, S., Ikebe, M., Kotani, M., Wenqin, X., Tachibana, T., Hosoya, H. and Hamao, K. “Phosphorylation of myosin II regulatory light chain by ZIP kinase is responsible for cleavage furrow ingression during cell division in mammalian cultured cells”
Biochem Biophys Res Commun. 459: 686-91 (2015) - 佐久間知佐子、千原崇裕「細胞内輸送に関わる新しい分子Strip」
医学のあゆみ 254: 1185-1186 (2015) - 千原崇裕、三浦正幸「脳科学辞典 (2015)」(以下の執筆を担当:ノザンブロット: 10.14931/bsd.5862、アンチセンス法: DOI:10.14931/bsd.5864、モルフォリノ: DOI:10.14931/bsd.5880)
2014年
- Sakuma, C., Kawauchi, T., Haraguchi, S., Shikanai, M., Yamaguchi, Y., Gelfand, V.I., Luo, L. and Miura, M. and Chihara, T. “Drosophila Strip serves as a platform for early endosome organization during axon elongation”
Nat Commun 5: 5180 (2014)
プレスリリース - Chihara, T., Kitabayashi, A., Morimoto, M., Takeuchi, K., Masuyama, K., Tonoki, A., Davis, L.D., Wang, J.W. and Miura, M. “Caspase inhibition in select olfactory neurons restores innate attraction behavior in aged Drosophila”
PLOS Genetics 10: e1004437 (2014)
プレスリリース - Sakuma, C., Anzo, M., Miura, M. and Chihara, T. “Development of olfactory projection neuron dendrites that contribute to wiring specificity of the Drosophila olfactory circuit”
Genes and Genetic Systems 89: 17-26 (2014) - 千原崇裕「膜タンパク質を一網打尽:小胞体分子Meigoによる樹状突起ターゲティング制御機構」
生化学 86, 259-264 (2014)
2013年
- Sekine, S.U., Haraguchi, S., Chao, K., Kato, T., Luo, L., Miura, M. and Chihara, T. “Meigo governs dendrite targeting specificity by modulating Ephrin level and N-glycosylation”
Nat Neurosci 16:683-91 (2013)
プレスリリース - Ihara, R., Matsukawa, K., Nagata, Y., Kunugi, H., Tsuji, S., Chihara, T., Kuranaga, E., Miura, M., Wakabayashi, T., Hashimoto, T. and Iwatusbo, T. “RNA binding mediates neurotoxicity in the transgenic Drosophila model of TDP-43 proteinopathy”
Hum. Mol. Genet. 22:4474-84 (2013) - Kondo, T., Isoda, R., Ookusa, T., Kamijo, K., Hamao, K. and Hosoya, H. “Aurora B but not Rho/MLCK signaling is required for localization of diphosphorylated myosin II regulatory light chain to the midzone in cytokinesis”
PLoS One. 8: e70965 (2013) - 関根清薫・千原崇裕「小胞体タンパク質MeigoはEphrinの蛋白質量およびN-結合型糖鎖修飾を介し樹状突起のターゲティングにおける特異性を制御する」
ライフサイエンス新着論文レビュー(http://first.lifesciencedb.jp/archives/7116), 2013
2012年
- Ishida, Y., Sekine, Y., Oguchi, H., Chihara, T. Miura, M., Ichijo, H. and Takeda, K. “Prevention of apoptosis by mitochondrial phosphatase PGAM5 in the mushroom body is crucial for heat shock resistance in Drosophila melanogaster”
PLOS ONE 7:e30265 (2012) - Kondo, T., Itakura, S., Hamao, K. and Hosoya, H. “Phosphorylation of myosin II regulatory light chain controls its accumulation, not that of actin, at the contractile ring in HeLa cells”
Exp Cell Res 318: 915-24 (2012) - Kondo, T., Isoda, R., Uchimura, T., Sugiyama, M., Hamao, K. and Hosoya, H. “Diphosphorylated but not monophosphorylated myosin II regulatory light chain localizes to the midzone without its heavy chain during cytokinesis”
Biochem Biophys Res Commun 417: 686-91 (2012)
2011年
- Kondo, T., Hamao, K., Kamijo, K., Kimura, H., Morita, M., Takahashi, M. and Hosoya, H. “Enhancement of myosin II/actin turnover at the contractile ring induces slower furrowing in dividing HeLa cells”
Biochem J 435: 569-76 (2011)
2010年以前
- Tea, J.S., Chihara, T. and Luo, L. “Histon deacetylase Rpd3 regulates olfactory projection neuron dendrite targeting via the transcription factor Prospero”
J Neurosci 21:9939-9946 (2010) - Lin, S., Lai, S.L., Yu, H.H., Chihara, T., Luo, L. and Lee, T. “Lineage-specific effects of Notch/Numb signaling in post-embryonic development of the Drosophila brain”
Development 137: 43-51 (2010) - Morita, M., Hamao, K., Izumi, S., Okumura, E., Tanaka, K., Kishimoto, T. and Hosoya, H. “Proline-rich domain in dynamin-2 has a low microtubule-binding activity: how is this activity controlled during mitosis in HeLa cells?”
J Biochem 148: 533-8 (2010) - Sekine, S., Miura, M. and Chihara, T.* “Organelles in developing neurons: essential regulators of neuronal morphogenesis and function”
Int. J. Dev. Biol. 53: 19-27 (2009) - Asano, S., Hamao, K. and Hosoya, H. “Direct evidence for roles of phosphorylated regulatory light chain of myosin II in furrow ingression during cytokinesis in HeLa cells”
Genes Cells 14: 555-68 (2009) - Hamao, K., Morita, M. and Hosoya, H. “New function of the proline rich domain in dynamin-2 to negatively regulates its interaction with microtubules in mammalian cells”
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