広島大学千原研究室

  • Japanese
  • English

Contents

動物細胞の細胞質分裂機構の解明

 全ての動物の発生は1個の受精卵が細胞分裂により増殖することから始まる。細胞分裂が正常に進行しなければ、生物は正常に発生できない。そのため、細胞分裂は重要なイベントである。私達は、細胞分裂の中でも細胞質分裂に注目して研究を行っている。

収縮環収縮におけるミオシンⅡ調節軽鎖の機能解析

 動物細胞の細胞質分裂は、細胞の赤道面に形成される収縮環の収縮により引き起こされる。収縮環は、アクチンフィラメントとミオシンⅡフィラメントから構成されており、これらのフィラメントが滑り合うことにより、収縮する。アクチンフィラメントとミオシンⅡフィラメントの滑りには、ミオシンⅡの活性化が必要である。
 ミオシンⅡは、その構成成分であるミオシンII調節軽鎖(MRLC)のThr18とSer19がリン酸化されることにより、ATPase 活性やフィラメントの安定性を上昇させる。MRLCのリン酸化には、Ser19がリン酸化される場合(一重リン酸化)と、Thr18、Ser19の2カ所がリン酸化される場合(二重リン酸化)の2通りがあり、二重リン酸化されるとミオシンⅡの活性はさらに上昇する。 私達は、一重リン酸化MRLCと二重リン酸化MRLCが収縮環に局在することを明らかにしている(下図)。このことから、細胞質分裂における一重リン酸化MRLCと二重リン酸化MRLCの役割、およびMRLCのリン酸化の制御機構の解明を目指している。

research03_01

細胞分裂時の微小管とダイナミンの相互作用の制御機構の解明

 細胞質分裂時には、分離した染色体と染色体の間に中央微小管が逆平行に並んでいる。細胞質分裂の進行には、中央微小管からのシグナルが必要であることが報告されているが、中央微小管のダイナミクス制御は不明のままである。
 私達は、ダイナミンが中央微小管に局在することを見出した(下図)。一方、間期の細胞では、ダイナミンは微小管との共局在はほとんど観察されない。 このことから、私達は、細胞周期でダイナミンと微小管の相互作用の制御が行われていると考え、その制御機構の解明を目指している。また、分裂期に中央微小管に局在するダイナミンの機能解明を目指している。

research03_02
PAGE TOP