広島大学千原研究室

  • Japanese
  • English

Contents

7、 がん関連シグナル経路HippoとmTORのクロストークとその生理的意義

がん抑制シグナル経路として知られるHippoシグナル経路は、細胞増殖、細胞死、細胞分化を制御し、個体発生やがん形成に重要な役割を果たしている。これまで多くの研究者によってHippoシグナル経路の主要構成因子が続々と単離・解析されてきた。例えば、hippo (MST1/2), warts(Lats1/2)などのキナーゼ群、Sarvador(Sav1)などの足場タンパク質、および転写制御因子として働くYorki(YAP/TAZ)が同定されている(括弧内は哺乳類オルソログ)。そのような中、私たちはショウジョウバエの遺伝学的・生化学的解析により「Hippoシグナル経路が神経においても機能する可能性」を見出した(Nat Commun 5, 5180, 2014, Cell Rep 16, 2289-2297, 2016, Sci Rep 5, 17769, 2016)。具体的には、進化的に保存されたPP2A複合体STRIPAK複合体の構成因子である「Strip」を遺伝学的スクリーニングにより単離し、Stripが神経シナプス部位に局在しすること、さらにStripがHippoと直接結合してHippoキナーゼ活性を抑制することを見出した。この発見はHippoシグナル経路が神経機能に影響を及ぼすことを示す論文となり大きな注目を集めることとなった。

 私たちは、Stripタンパク質の機能理解を進める目的で、ショウジョウバエ上皮細胞における遺伝学的解析を開始した。その結果、Strip-Hippo経路とmTOR経路の間における興味深い相互作用を見出している(未発表)。mTOR経路は、細胞外のアミノ酸量などを感知して細胞増殖を制御するシグナル経路で、多くのがん細胞で活性化している。この研究を進めることで、がん関連シグナル経路として有名なHippo経路とmTOR経路が、組織中および細胞内でどのように相互作用しているのかを解明し、最終的には、前がん状態が(悪性)がん細胞へ変化するメカニズムの理解を目指している。

さらに詳細を知りたい方は、千原()までご連絡ください。

PAGE TOP